みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
ayako (@ayako_lifestyle) です。
今回は土井善晴さんの著書『一汁一菜でよいという提案』を紹介。
その中で「心が動いたことばたちを抜粋」と、実際にやってみて得られたこと」をシェアします。
忙しくて料理をする気力がない。
毎日毎食、献立を考えることに疲れてしまった。
そんな方におすすめしたい、やさしい本です。
土井善晴『一汁一菜でよいという提案』
一汁一菜でよいという提案
著者:土井善晴
出版社:新潮社
発売日:2021年10月28日
心が動いたことばたち
食べることは人に任せず自分でする、ということを優先するのです。
土井善晴. 一汁一菜でよいという提案. 新潮社, 2021, p.22
ー汁ー菜は決して手抜きではないのです。
土井善晴. 一汁一菜でよいという提案. 新潮社, 2021, p.28
和食の背景には「自然」があり、西洋の食の背景には「人間の哲学」があります。
土井善晴. 一汁一菜でよいという提案. 新潮社, 2021, p.30
多くの人が、ハレの価値観をケの食卓に持ち込み、お料理とは、テレビの料理番組で紹介されるような手のこんだものでなければいけないと思い込んで、毎日の献立に悩んでいるのです。
土井善晴. 一汁一菜でよいという提案. 新潮社, 2021, p.35
人生とは、食べるために人と関わり、働き、料理して、食べさせ、伝え(教育)、家族を育て、命をつなぐことです。
土井善晴. 一汁一菜でよいという提案. 新潮社, 2021, p.44
台所の安心は、心の底にある揺るぎない平和です。お料理を作ってもらったという子どもの経験は、身体の中に安定して存在する「安心」となります。
土井善晴. 一汁一菜でよいという提案. 新潮社, 2021, p.49
インパクトの強い日常の雑事に追われて地球環境のことや子どもたちの未来といった大切なことをつい忘れて置き去りにするのと同じように、小事を気にして大切な問題は後回しにするのです。
土井善晴. 一汁一菜でよいという提案. 新潮社, 2021, p54.
作る余裕も時間もないのに、できっこないのに、おかずまで作る必要はないということです。
土井善晴. 一汁一菜でよいという提案. 新潮社, 2021, p.90
家庭料理とは、食べることと生きることのつながりを知り、一人ひとりが心の温かさと感受性を持つもの。それは、人を幸せにする力と、自ら幸せになる力を育むもの。
土井善晴. 一汁一菜でよいという提案. 新潮社, 2021, p.96
家庭料理は、素朴で地味なものです。
目的は自分と家族の健康です。
そして、中くらいに、普通においしければ、まずはそれでよいのです。
土井善晴. 一汁一菜でよいという提案. 新潮社, 2021, p.98
人間の暮らしでいちばん大切なことは、「一生懸命生活すること」。
土井善晴. 一汁一菜でよいという提案. 新潮社, 2021, p.99
台所から聞こえてくる音は、おいしいものができる音です。
ですから、それを聞くだけで人は幸せな気持ちになるのです。
土井善晴. 一汁一菜でよいという提案. 新潮社, 2021, p.125
ハレとケとを区別して、ケの日常は慎ましく、必要最低限の食事で暮らすことが心身ともに心地よいことを、身体は知っていたはずです。
土井善晴. 一汁一菜でよいという提案. 新潮社, 2021, p.159
情緒性を持つとは、日本の四季、自然の移ろい、新しく生まれる命と朽ちゆく命に、人間の心を重ねて共鳴できる力を持つことです。
土井善晴. 一汁一菜でよいという提案. 新潮社, 2021, p.161
和食を、身近で普遍的なるものとしながら、更に誇れるものとするためには、今の状況を理解し、曖昧なものを曖昧なままにせず、言葉にして伝え、実践する努力が必要だということです。
土井善晴. 一汁一菜でよいという提案. 新潮社, 2021, p.163
ラーメンや漫画という、日本人がヒエラルキーを意識せず、心が自由になれる場(ヒエラルキーの隙間)に、世界的なものが生まれていることを考えるべきだと思うのです。
土井善晴. 一汁一菜でよいという提案. 新潮社, 2021, p.166
人間は、道具に美しく磨かれることがあるのです。
土井善晴. 一汁一菜でよいという提案. 新潮社, 2021, p.168
「和食の一汁一菜を食事のスタイルとして、家庭料理を作って下さい。汁飯香なら、作れます。きれいに整えて慎ましく暮らせば、心身は敏感になって、かつ、穏やかになります。余裕のある日は、季節のおかずを、作って下さい。料理する幸せがわかるでしょう。食べる人の笑顔が見られます。ときには、お客さんを招いて下さい。おいしい肴を用意して、器を選んで、盛りつけて下さい。互いにもてなし、楽しむ場を、作って下さい。そうすることが和の食文化を守り、子どもたちに伝え残すことになると思います。
土井善晴. 一汁一菜でよいという提案. 新潮社, 2021, p.194-195
今のまま表面だけを取り繕い、小さな変化で乗り切ろうとするよりも、原点にかえって一度リセットすることで、新しいもの、これまでと違うもの、新しいやり方をいくらでも見つけられるように思うのです。
土井善晴. 一汁一菜でよいという提案. 新潮社, 2021, p.220
穏やかで実質的な主張が、日常を変え、ひいては世界を変えていく。
土井善晴. 一汁一菜でよいという提案. 新潮社, 2021, p.222
暮らしにおいて大切なことは、自分自身の心の置き場、心地よい場所に帰ってくる生活リズムを作ることだと思います。
土井善晴. 一汁一菜でよいという提案. 新潮社, 2021, p.224
「和の食文化を守る」について考える
本書で知ったのですが、和食は2013年にユネスコの無形文化遺産に登録されたようです。
ですがわたしを含め、当の日本人はそれをどれだけ知っているのか、週にどれだけ和食をつくっているのか…
よくよく考えればそんな尊いものを、今までどれだけないがしろにしてきただろうか。
そんな尊いものを「後世に残そう」という意識が、あまりにも薄れてしまっているように思います。
「いまの自分がよければ、それでよし」
そんな自己中心的な私たちを見て、先人たちは肩を落としていないか、未来の人たちは怒りを抱いていないか。
「なぜ日本独自の食文化が生まれたのか」「それはどんな文化なのか」「どんな想いで先人が私たちに繋げてくれたのか」を知ろうとしてみる、思いを馳せてみる。
そんな意識の上で、他の国のおいしい料理も取り入れたらいいんです。
暮らしや心、時間やお金に余裕がない私たちに必要なのは、『一汁一菜でよいという提案』だとわたしは確信しています。
「一汁一菜」を実践してみた結果、得たもの
この本をはじめて読んだときから約1年、一汁一菜を実践してみています。
その結果、得られたものを最後にいくつか紹介します。
体重が減った
ずっと52~3キロくらいの中肉中背だったわたし。
運動を頑張ってみたり、オートミールダイエットをしてみたり、プロテイン置き換えダイエットをしてみたり…
巷で流行っているダイエット法を試しては長続きせず、「40キロ代なんて何年前に見たきりだろう」と肩を落とす数年間。
それが一汁一菜の生活をはじめてから、するすると体重が落ち始めたんです。
今では40キロ代後半をほぼずっとキープできています。
何より驚くのは「飽きない」ということ。
白ごはんとお味噌汁と納豆。
ごはんのおともは、その時々で。
日本人の「基本の型」だから、からだも頭も、本能で喜んでいるのかもしれないですね。
献立を考えたり、買い物に時間がかからない
料理をよくされる方はわかるはずです、献立を考えるのがどれほど大変か。
そしてその都度、必要な材料が変わるから買い物の頻度も増えるかもしれません。
でも、なんてことない毎日の食事を「一汁一菜の型」に固定するだけでその辺の苦労が激減し、肩の力が抜けていくのを実感できました。
考えるのは「納豆が少なくなってきたな」「季節の野菜でお漬物をつくろうかな」とか、せいぜいそんなところです。
わたしは会社員でも子育てが大変なお母さんでもありません。
ただの夫婦ふたり暮らし、週4日程度はたらくだけのパートタイマーです。
そんなわたしですら効果を実感できたのですから、きっと日々いそがしく頑張る方の助けとなるのではないでしょうか。
食費が大幅に減った
一汁一菜を基本にしてから、今までどれだけ無秩序に、好き放題に食べてきたのかと反省しました。
具体的には、だいたい今の食費は外食なども含めて月2万円ほどです。
正直にいうと、一汁一菜の生活をする前はきちんと家計簿もつけていなかったものですから、好き放題食べていた頃の食費は記録に残っていませんが、体感でいうと倍は食にお金をかけていたと思います。
ここで、こんなことばが出てきそうです。
貧乏くさい
わたしもやる前はそう思っていたので気持ちはよくわかります、「昔の話じゃないんだから」ってね。
でも実際に一汁一菜で暮らしてみると逆に、今までなんでそんなにお金をかける必要があったのか、わからなくなってしまったんです。
みんなそういう暮らしをしているから?こんな暮らしができているんだって見栄を張るため?
固定概念が覆った瞬間でした。
この暮らしが、現代では「貧乏くさい」と言われてしまうのは仕方のないことだと思います。
それでも一度その概念をリセットしてみると、得られるものは本当に大きいと気づくことができるのです。
さいごに
なにか心に、頭に引っかかることばはありましたか?
この記事が「この本読んでみたい」と思ってもらえるきっかけになれば、これ以上嬉しいことはありません。
みなさまの暮らしがよりよくなるように、この本が、「一汁一菜の型」がもっともっと広がることを願っています。