みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
ayako (@ayako_lifestyle) です。
今回はローマン・クルツナリック(訳=松本紹圭)さんの著書『グッド・アンセスター ──わたしたちは「よき祖先」になれるか』を紹介。
その中で「心が動いたことばたちを抜粋」と、「実践してみたこと」をシェアします。
わたしは未来を生きるひとたちによき祖先だと言ってもらえるのか。その反対なのか。
かなりボリューム満点でむずかしい内容ではありますが、叶うのであればすべてのひとに読んでいただきたい本です。
ローマン・クルツナリック『グッド・アンセスター ──わたしたちは「よき祖先」になれるか』
グッド・アンセスター ──わたしたちは「よき祖先」になれるか
著者:ローマン・クルツナリック、訳=松本紹圭
出版社:あすなろ書房
発売日:2021/9/8
心が動いたことばたち
少なくとも、「長期的であること」について考えようとするときは、深呼吸して「百年以上」を考えよう。
ローマン・クルツナリック、訳=松本紹圭. グッド・アンセスター ──わたしたちは「よき祖先」になれるか. あすなろ書房, 2021, p.22
グッド・アンセスター、よき祖先への道は、私たちの前にある。その道を選ぶか否かは、私たちの選択次第だ。
ローマン・クルツナリック、訳=松本紹圭. グッド・アンセスター ──わたしたちは「よき祖先」になれるか. あすなろ書房, 2021, p.23
私たちは生物の大いなる連鎖の中のちっぽけな一片に過ぎないのに、生態系を無視したり、危険なテクノロジーを開発したりして、すべてを危険にさらすとは、一体何様のつもりだろう。地球の未来や、これから生まれてくる人類や他の種の世代に対して、義務や責任がないとでもいうのだろうか。
ローマン・クルツナリック、訳=松本紹圭. グッド・アンセスター ──わたしたちは「よき祖先」になれるか. あすなろ書房, 2021, p.60
木々が自分よりはるかに長生きすることを知ったおかげで、ゆらめく炎のごとき自分の存在をかき消すような生物界の偉大さに対する、謙虚さと尊敬の念が生まれたのだ。
ローマン・クルツナリック、訳=松本紹圭. グッド・アンセスター ──わたしたちは「よき祖先」になれるか. あすなろ書房, 2021, p.64
忘れてしまいがちだが、私たちの生活は、すべて彼ら先人たちからの贈り物の上に成り立っている。時を超えた遺産を残すことは、今こうして私たちが享受しているものへの恩に報いることでもある。
ローマン・クルツナリック、訳=松本紹圭. グッド・アンセスター ──わたしたちは「よき祖先」になれるか. あすなろ書房, 2021, p.75
遺産とは、「残す」ものではなく、一生をかけて「育てる」ものだ。
ローマン・クルツナリック、訳=松本紹圭. グッド・アンセスター ──わたしたちは「よき祖先」になれるか. あすなろ書房, 2021, p.83
ローマ帝国が滅亡したことは知っていても、自分たちが同じような運命をたどるかもしれないという現実を認めることはおろか、想像することもできないのだ。
ローマン・クルツナリック、訳=松本紹圭. グッド・アンセスター ──わたしたちは「よき祖先」になれるか. あすなろ書房, 2021, p.156
私たちは、文明崩壊の見通しについて不可知論者である必要がある。つまり、起こるかもしれないという現実的な覚悟を持ちつつ、起こらないかもしれないという可能性にも心を開いておくということだ。
ローマン・クルツナリック、訳=松本紹圭. グッド・アンセスター ──わたしたちは「よき祖先」になれるか. あすなろ書房, 2021, p.180
例えば、仏教では、すべての生き物の相互関係、普遍的な慈悲の心、カルマと輪廻などの概念が、強力な自然保護の倫理の基礎を作り、現在の世代と将来の世代とのつながりを提供しているが、それはキリスト教、イスラム教、ユダヤ教にはなかなか見られないものである。
ローマン・クルツナリック、訳=松本紹圭. グッド・アンセスター ──わたしたちは「よき祖先」になれるか. あすなろ書房, 2021, p.267
50年後も、100年後も、500年後も、地球上のすべての大陸には、人間が住み、働き、愛し、夢を見ていることだろう。そして、彼らが送る人生は、私たちが今日どのように行動するかによって、つまり、彼らが受け継ぐことになる歴史によって、大きく影響される。私たちは彼らの祖先であり、私たちの為す政治的、環境的、文化的、技術的な選択が、必然的に彼らの将来を形作ることになるのだ。
ローマン・クルツナリック、訳=松本紹圭. グッド・アンセスター ──わたしたちは「よき祖先」になれるか. あすなろ書房, 2021, p.274
グッド・アンセスター、よき祖先になるためには、「どうやって〈私〉が変化をもたらすか」ではなく「どうやって〈私たち〉が変化をもたらすか」が重要な間題となる。
ローマン・クルツナリック、訳=松本紹圭. グッド・アンセスター ──わたしたちは「よき祖先」になれるか. あすなろ書房, 2021, p.277
若い世代の愛する人たちの人生が、自分自身の人生の遥か先にあると想像することも、より「長い今」への架け橋になる。
ローマン・クルツナリック、訳=松本紹圭. グッド・アンセスター ──わたしたちは「よき祖先」になれるか. あすなろ書房, 2021, p.280
私たちに何ができるのか考えてみる
進化生物学者によると、目先の快楽や欲望、報酬にこだわってしまうそうした依存傾向は、食料が不足していたり、安全が脅かされていたりする状況下での生存メカニズムとして発達したと考えられる。
ローマン・クルツナリック、訳=松本紹圭. グッド・アンセスター ──わたしたちは「よき祖先」になれるか. あすなろ書房, 2021, p.27
きっと今は短期思考が優勢になっている時代なのでしょう。
日本にいれば命の危機を常に感じるようなこともほとんどありませんし、今日食べるものがないなんてこともほとんどないと思います。
ですが、最近よく見かける「自分の人生で精一杯」とか「結婚したいと思わない」とか「子どもは欲しくない」とか…それが若い方の口から出ていることにとても危機感を覚えます。
そんな方々が悪いとかいう話ではありません。
時代の流れが、世界情勢が、このような生存メカニズムを生んでしまっていることに危機感を覚えるのです。
自分の次の世代も想像できないのに、「100年後の未来なんて知ったこっちゃねーよ」って話なんですよ。
ただ私は、「だからしょうがない、もう世界は滅亡するんだ」ってあきらめたくないんです。
しかも滅亡するとしたら自分が死んだ後の時代だろうし、そもそもそんな世界を作ってきたのは私たち大人です。
そんなのは自己中心的すぎるし、無責任すぎるよな、とも。
じゃあ、今から私たちには何ができるのか。
「資源を大切にする」などのエコ活動も明確な目的を持たないと続きませんよね。
まずは100年後に思いを馳せてみる、想像してみる。
樹齢数百年の木に触れにいく
100年って前も後もそう簡単に想像なんてできないんですよね。
そこで私が実際にやってみたのは本書で出てきた「樹齢数百年の木に触れにいく」です。
例えば古代の木(できれば枯れ木よりも生きた木)へ月に一度の巡礼をするなどの簡単なことからでもいい、できる限りのことをやってみてはどうだろう。
ローマン・クルツナリック、訳=松本紹圭. グッド・アンセスター ──わたしたちは「よき祖先」になれるか. あすなろ書房, 2021, p.65
木は数百年前からずっとそこにいるわけです。
私たちよりも遥に長い間、同じ場所でいろんな景色を見てきています。
そんな生命に触れると少しだけ歴史の壮大さに、そして私はその中のたった一瞬に過ぎない、ということに気付かされました。
大切な人が荒廃した100年後で生きている姿を想像する
若い世代の愛する人たちの人生が、自分自身の人生の遥か先にあると想像することも、より「長い今」への架け橋になる。
ローマン・クルツナリック、訳=松本紹圭. グッド・アンセスター ──わたしたちは「よき祖先」になれるか. あすなろ書房, 2021, p.280
「もし自分が100年後に生きていたら」を想像しても、まあどうせそこまで生きてないしええか、になりなねない。
私の場合は旦那さんで想像してみました。とてもとても大切なので。
地球温暖化によって荒廃した世界で生きていたり、戦争で苦しんでいたり……本当につらい。
大切な人が幸せに、笑って暮らせない世界なんか作ってたまるか、そんな思いも湧いてきました。
想像してみてください。
大切な家族が、大好きな恋人が、推しが……ひどい環境で泣いて生きている姿を。
自分が苦しむよりも心が痛みます。
自分より相手のことを考える
グッド・アンセスター、よき祖先になるためには、「どうやって〈私〉が変化をもたらすか」ではなく「どうやって〈私たち〉が変化をもたらすか」が重要な間題となる。
ローマン・クルツナリック、訳=松本紹圭. グッド・アンセスター ──わたしたちは「よき祖先」になれるか. あすなろ書房, 2021, p.277
地球温暖化ももちろん深刻な問題ですが、少子高齢化、また戦争など、「今がよければそれでいい」といろんな問題が未来に丸投げされているように思います。
ひとりの力でこれらの問題は解決できません。だからみんなで解決する必要がありますよね。
なのに昨今、「自分を大切にする」を勘違いしてしまった個々の自己中心性で生まれた対立関係を頻繁に見かけるようになりました。
性別、世代間、国籍、善悪、貧富など……血の流れる争いにまでいかなくとも身近なところでの争いが絶えません。
私は少し怖くなったんです。「このままじゃ、戦争起こるんちゃう?」と。
ひとりで政治を動かすのも、地球環境を変えるのも、争いを止めるのも無理かもしれない。
だから静かに、優しさや思いやりを持って、周りの人と協力していく必要があるように感じています。
そのために必要なのは、「自分より相手」という考え方ではないでしょうか。
周りを大切にする人のところに集まってくるのは、周りを大切にしてくれる人。
自分で自分を大切にするよりも、もっとたくさんのやさしさや愛を受け取れる可能性を秘めているし、穏やかな輪が広がっていくような気がしています。
さいごに
なにか心や頭に引っかかる言葉は見つかりましたか?
この記事が「この本読んでみたい」と思ってもらえるきっかけになれば、これ以上嬉しいことはありません。
自分にできることからこつこつと、いまのあたりまえを見直してみたり、何百年先の未来に思いを馳せてみる。
先人から受け継いだこの命をつぎの世代へつなげる意識が、少しずつ、たくさんのひとに広まることを願っています。